ドキュメンタリー、90分、2015年より制作中
伝統工芸と現代の技術を融合させ、工芸の新たな地平線を切り開く漆芸家、橋本千毅。
2014年、彼は工芸史上の傑作を凌ぐ大作を依頼される。8年に渡る制作過程を記録し、人生をかけた『ものづくり』を追う。
富山在住の漆芸家、橋本千毅(44)が制作するのは、6つの小箱が収められた6寸の箱。
「不遜に聞こえるかもしれませんが、国宝に匹敵するものを作るというプロジェクトです。現代人が過去の漆芸作品の傑作レベルのものを作れるか?という素朴な疑問に答える挑戦です。発想は素朴ですが、現実にはとても厳しい挑戦です」 − 橋本千毅
現在、日本の伝統工芸は衰退の一途を辿り、超絶とまで称えられる伝統技術の再現は不可能とされている。伝統を重んじつつも、現代の技術を効果的に活用し、類い稀なる分析力と精神力で、その不可能に挑戦し続ける橋本。彼の厳しい眼差しは、まるで漆黒の暗闇に一筋の光を追うように、遥か彼方を見据えている。4年の歳月をかけ、カメラは彼の作家人生と制作工程を細やかに追う。